渋峠はやっぱりいいですよね。毛無峠に寄り道したらさらに良かったです。
天空に至るまでがまずいい、それが渋峠
渋峠というのは自転車乗りの間での愛称のようなもの。道路としての名前は国道292号、志賀草津道路とも。渋峠は群馬屈指の名所であり、多くの車・バイク・自転車が行き交います。自分はそういった盛況な場所は正直苦手なのですが、走り出すと「やっぱり別格」と思ってしまいます。
それは天空に続いているから。気づけば木々は姿を消し、振り返えればいつでも下界が見渡せるように。コーナーの急傾斜をひとつ乗り越えるたびに、現世から離れていくのが実感できます。
その名の通り白く美しい「白根山」を横目に進めば尾根にたどり着き、今度は天上の楽園といった風情の「逢ノ峰」が目に飛び込んできます。
贅沢すぎる寄り道先、毛無峠
国道292号は途中で二手に分かれます。この万座三叉路を直進すれば渋峠へ。左折すれば(ネットでは)渋峠以上の知名度を誇る「毛無峠」に行けます。
道すがら、こんな景色が見られる、というのがひとつ目の理由です。遮るものがなく、渋峠の先にある「横手山」の山頂がよく見えます。その下に見える白いラインは国道292号、このあと走る場所はあんなところなのです。
加えて、毛無峠には渋峠とはまたちがった、壮観な眺めがあります。1枚目の写真は長野方面、2枚目は群馬方面の景色です。遮るものがなく、妙高山・戸隠山方面や嬬恋方面がよく見通せます。天上を彷徨っているような気持ちになってきます。
はげ上がった斜面と鉱山施設の名残といった毛無峠にしかない景色も、寄り道ついでというレベルではありません。
渋峠を上りきって下り始めたときに感じる「もう終わりか」という感覚をモラトリアムできる場所、毛無峠は自分的にそんな場所です。
白根山の裏にある日本国道最高地点へ
満座三叉路に戻り、今度は白根山の裏側に回り込むように進みます。白根山からは白煙が立ち上っていました。白根山は活火山、大規模な噴火があれば、何年も走れなくなることでしょう。2018〜2019年も火山活動による通行止めで走れませんでした。さまざまな意味で“走っておいたほうがいい峠”です。
このときは秋口、緑の中に色づきが見られていい感じでしたが、自分としては雪の回廊がある季節のほうがテンション上がりますね。次に行くとすればGW前後の冬期封鎖解除のタイミングにすると思います。
日本国道最高地点・渋峠ホテルにたどり着いたときに味わえる達成感はやはり強烈です。上り切った感をここまで味わえる峠はなかなかありません。
峠は反対側に下ってこそ
山肌に張りつく洞門を抜け、長野側に下っていきます。
実はこのとき補給食が切れてハンガーノック寸前でした。毛無峠で遊んでいるうちにレストランが軒並み閉まってしまい、唯一やっていた「2037 Sky Gate」のオムカレーに救われました。
長野側(志賀高原)もなかなか良いです。ちょいちょい見かける白樺が非常に印象的です。
下った先には湯田中という温泉街があります。長野電鉄長野線の駅があり、いい味出してます。隣に日帰り温泉があるのもポイント高し。
入浴してさっぱりしたあと、ほとんど無人の長野電鉄の中でうとうと。東京へは長野駅から新幹線で。地ビールを空けつつ撮った写真を見返す。渋峠を巡る旅は夢見心地のうちに終わるべきです。
今回のコース
- 起点はJR吾妻線 長野原草津口駅。高崎駅からアクセスできます。
- 難易度はそこそこ高めです。ヒルクライムが苦手な人は渋峠に直行したほうがいいと思います。
- 毛無峠に行く場合は、補給食を多めに持ったほうがいいかも。
- 終点は長野電鉄長野線 湯田中駅。長野駅まで行って新幹線に乗り換えられます。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 峠道にはさまざまありますが、中に「2つの地域をつなぐもの」があります。たとえば、群馬と長野の県境にある渋峠がそうですし、東海から近畿への入口になっている加太越もそういったタイプの峠に分類できるでしょう。 […]